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Asian Insurance Forum 2025 – 香港保険業監管局|香港保険・オフショア投資情報

2025.12.10

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Asian Insurance Forum 2025 – 香港保険業監管局

今年も香港保険業監管局(IA)が主催する、『Asian Insurance Forum(AIF)』が、12月8日に開催されました。今年は、「不確実性の乗り越えとイノベーションを受け入れる」をテーマに、国際的な業界リーダー、規制当局、政策立案者が集まり、保険監督当局間での国際的な連携・協力、高齢化とヘルスケアのニーズ、AI の役割の拡大について議論しました。

このイベントは、保険市場が不確実性にどのように適応し、イノベーションを加速させているかについて、世界的な視点を提供することを目的としています。

近年、世界情勢や金利リスク管理、気候変動やAIの応用など、保険業界に限らず、将来の不確実性が増しています。

金利リスク

国家金融監督管理局の肖元奇副局長は基調講演で、「まず、インフラ事業と保険事業における金利リスクに、より一層注意を払う必要があります。金利変動は保険会社のバランスシートの資産側と負債側の両方に大きな影響を与えます。このリスクを効果的に管理することが、企業の中核的な競争力を反映するのです」と述べました。

「2022年までの約20年間、多くの市場は長期にわたる低金利環境下で推移し、中にはゼロ金利やマイナス金利に陥った市場もありました。国際社会の多くはこのような状況が続くと考えており、保険会社もその前提に基づいてビジネスモデルを構築していました。しかし、2022年は急激な反転をもたらしました。インフレの上昇を受け、米国連邦準備制度理事会(FRB)は11回にわたり利上げを実施し、短期間で5%を超える利上げとなりました。他の主要経済国も金利を高水準に引き上げました。」と彼は付け加えました。

今後、保険会社は金利がより頻繁に、より不安定に、双方向に動くことを予想しながら、新たな資産と負債を配分する必要があるでしょう。

気候変動

地球温暖化による気候変動は、10年前と比べより一層深刻化しており、中国本土・香港でも、台風、大雨、洪水などの被害が増加しています。そしてこのような異常気象は、直接的な被害だけではなく、公衆衛生や経済成長にも大きな影響を与えます。

保険業界にとっては、主に2つの影響があるでしょう。

「まず、保険会社は保険数理上の前提を再評価し、商品や投資の価格設定を見直す必要があります。これは、データとモデルの大幅な強化を必要とし、一夜にして達成できるものではありません。第二に、気候変動の不安定さによって業界の新商品投入意欲が減退し、保障のギャップが拡大し、需給の不均衡が生じる可能性があります。保険会社はリスク分散のため、再保険への依存度を高める必要も出てくるかもしれません。」と同氏は付け加えました。

最後に、困難にもかかわらず、新たな機会が生まれる可能性にも言及し、「香港の保険業界が物理的リスクと移行リスクの両方を効果的に管理できれば、新たなビジネスの可能性が開けるかもしれません。気候変動は、保険の重要性に対する国民の意識を高めました。」と述べました。

また、2026年の国際保険監督者協会(IAIS)の年次総会と年次会議は香港で開催されることが決定しており、保険業界でも香港の地位が高まっています。

 

 

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