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米連邦準備制度理事会(FRB)は、労働市場の低迷と持続的なインフレ圧力の中、政策金利を0.25%ポイント引き下げ|香港保険・オフショア投資情報

2025.09.19

金融情報

米連邦準備制度理事会(FRB)は、労働市場の低迷と持続的なインフレ圧力の中、政策金利を0.25%ポイント引き下げ

連邦公開市場委員会(FOMC)は9月16~17日の会合を終了し、広く予想されていた通り、FF金利の目標レンジを25ベーシスポイント引き下げ、4.00%~4.25%とする決定を下しました。この措置は、成長の減速、労働市場の低迷、そして依然として高いインフレ率に対応した金融政策の再調整を反映しています。

労働市場:減速傾向にあるが依然として堅調

最近の指標は雇用増加の減速を示しており、雇用者数の伸びが鈍化し失業率が小幅に上昇しています。失業率は依然として歴史的に低い水準にあるものの、連邦準備制度理事会(FRB)は雇用に対する下振れリスクが高まったことを認めました。これは、引き締めサイクルを通じて驚くほど強靭さを保ってきた労働市場の状況が、今やより明確な緊張の兆候を見せ始めていることを示唆しています。企業は採用に慎重な姿勢を強めており、賃金上昇圧力は緩和傾向にあるものの、FRBのインフレ目標達成に向けた課題として残っています。

経済成長:減速したが停滞はしていない

FRBの最新予測によれば、2024年前半のGDP成長率は減速したものの、中期的な見通しはわずかに明るくなりました。委員会は現在、2025年のGDP成長率を1.6%、2026年を1.8%と予測しており、いずれも6月の予測より0.2ポイント上方修正されました。この上方修正は、経済活動が鈍化しているものの、景気後退の瀬戸際にあるわけではないことを示しています。むしろ「ソフトランディング」シナリオ——成長率は鈍化するもののプラス成長を維持する——が依然として達成可能であることを裏付けています。

インフレ:粘り強いが徐々に緩和

インフレは依然として中心的な課題です。総合PCEインフレ率は2025年に3.0%と予測され、2026年には2.6%までしか緩和しない見込みです。より安定した指標であるコアPCEインフレ率は、2025年に3.1%で横ばいとなり、2026年には2.6%へ小幅に低下すると予想されます。これらの数値は、インフレ圧力が従来予想よりも持続的であることを示しており、FRBは2%の目標達成が2028年まで見込めないとしています。

この持続性が政策の道筋を複雑にしています。9月の利下げに加え、年末までにさらに25ベーシスポイントの追加利下げの可能性が示唆されていることは、雇用支援とインフレ抑制への信頼性を両立させるというFRBの二重使命のバランスを図る試みを反映しています。

金融政策の見通し:段階的な転換

9月の利下げはFOMC委員の大半が支持したものの、50ベーシスポイントのより大幅な利下げを主張したスティーブン・I・ミラン委員の反対意見は、FRBが政策転換をどの程度の速さで進めるべきかについての議論が続いていることを浮き彫りにしています。委員会の更新された金利見通しは、より緩やかな利下げペースを示唆しており、FF金利は2025年末までに3.6%、2026年には3.4%に達すると予想されています。

重要なのは、FRBがデータ依存のアプローチを強調し、今後の政策判断が労働市場の動向、インフレの推移、および世界的な金融情勢に左右されることを示唆した点です。

株式市場への慎重な楽観論

投資家にとって、FRBのメッセージは警戒と安心の両方をもたらします。一方で、インフレの粘着性は利下げが段階的に進むことを意味し、急速な金融緩和への期待を抑制する。他方で、FRBが労働市場のリスクを認識し、成長を持続させるために行動する意思を示したことは、リスク資産にとって支援的な背景を提供すべきです。

インフレ指標とFRBのシグナルの両方に敏感に反応してきた米国株式は、借り入れコストの緩やかな低下と成長見通しの改善という見通しに安心感を見出す可能性があります。短期的なボラティリティは継続する見込みだが、リスクのバランスを考慮すると、FRBが物価安定と持続的な拡大に向けた道筋を模索する中で、米国株式市場に対して慎重ながらも楽観的な姿勢が妥当であると言えるでしょう。

 

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